サポートの心得

シニア情報生活アドバイザーは、さまざまな場で、ITの基本的な手ほどきから、パソコンの楽しい使い方まで、幅広くシニアの皆さんに手ほどきしていきます。
自宅の一角を開放してのミニ勉強会であればマンツーマンの学習になりますが、メイン講師が一人つき、数名のサポートで編成する教室形式の講座では、サポートの役割は想像以上に難しく、その役割は大きなものがあります。

また、サポートは、メイン講師よりも密に受講生と接する立場にあります。受講生は、すぐそばにいるサポートのほうに声をかけやすいからです。そのため、サポートには、メイン講師と同等、またはそれ以上のスキルが要求されます。「あまりスキルがないから...」とサポートに回るのは、適切ではありません。また、勉強のためにサポートとして参加したいというのは、本末転倒です。メイン講師の講習の進め方、話し方、態度などから学ぶべきことはあるかもしれませんが、講習内容を受講生と同様に学ぼうとするのは、サポートとしてはあってはならないことです。

いったい、サポートの役割とは何でしょうか。
それは、『メイン講師(が行う講習)を手助けする』ということです。ひとりひとりの受講生に対して、丁寧に講習内容を教えてあげることではありません。ひとりひとりの受講生が、メイン講師の進める講習を聞き逃すことなく、流れについてくることができるよう、速やかにその流れのなかに戻してあげることです。けっして、セミナールームの中にもうひとつのミニセミナーを展開することがあってはなりません。また、パソコンには目的は同じでも操作方法が異なることもあり、どの方法を取り入れるかは、メイン講師の考えに従い、教える内容に食い違いがないように準備しておかなければなりません。でなければ、受講生はどちらの方法を覚えたらよいのかわからなくなり、ひいては講座の信頼感も損なわれます。

サポートは、講習がはじまったら、補助をしなければならない状況になるまでは、セミナールームの後ろに控え、助けが必要な受講生がいないかどうか、講習の流れに注意しながらスタンバイします。

メイン講師が、説明する内容を良く聞き、操作で迷っている受講生がいたら、速やかに近くによって、小声で手短に要領よくアドバイスします。間違っても、講師の説明と違う操作方法などをアドバイスしてはいけません。そのためには、講師の説明をよく聞くことも必要です。
また、メイン講師の説明に、その場で「そのやり方より、こっちのやり方の方がいいと思います...。」などと意見するのは、もっとも控えるべきことといえるでしょう。たとえそのほうが優れているとしても、それでは受講生のメイン講師への信頼を損ない、講習会自体の信頼も失ってしまいます。もし、講習内容に意見がある場合は、講習会のあとメイン講師に伝え、よく話し合いましょう。

ついつい親切になりすぎて、手取り足取り説明してしまい、受講生の代わりに入力してあげたり、操作をしてあげるようなことがないようにしましょう。
また、説明のためにメニューを探すなど、マウスを持つことも避けましょう。せっかく、操作を覚えよう!とセミナーに参加しているのに、マウスを取られて説明されるのは、受講生自身嬉しいものではありません。面倒でも、言葉で短くサポートします。
速やかに講習の流れに戻してあげるために、どうしてもマウスを触る必要がある場合は、「ちょっとマウスを操作してもいいですか?」と声をかけ、手短に操作して、すぐマウスは受講生に返しましょう。

速やかに流れに戻してあげられない状況の場合は、メイン講師にさりげなく様子を知らせます。手で合図するなど、講師と打ち合わせておくと良いでしょう。状況によって、メイン講師が対応を指示します。
サポートは、受講生のメイン講師への信頼を確保し、「メイン講師の教える内容にはまちがいや落ち度があるのではないか...」という不信感や不安を与えないことが大切です。

講習会は、講習会当日だけではありません。事前の準備から講習は始まっているといえます。テキスト、名簿、名札、の準備など、メイン講師を補助することもあります。できるだけ、メイン講師と連絡を取り合い、手助けして講習会を運営していきましょう。

講習後は、受講生の使用したパソコンの設定を元通りにもどしておきましょう。
講習会場は、さまざまな講座が行われますので、設定が変わっていると、受講生も戸惑いますし講習もスムーズにすすみません。(大林 依子)